ビーダーマイヤー様式とは?【エトセトラ】
今年2019年は日本・オーストリア外交樹立150周年ということで、関連展覧会に行って来ました。一つは『クリムト展 ウィーンと日本1900』、もう一つは『ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道』です。クリムト展はもちろんクリムトの代表作『ユディット』や、分離派会館の『ベートーヴェン・フリーズ』が原寸大複製で展示されるというものもあり、大変見応えのある展覧会でした。
インテリアに携わるものとして、触れておきたいのが建築・デザイン分野。ウィーンで一時期に表れたインテリアスタイルの「ビーダーマイヤー様式」についてのお話です。
『ウィーン・モダン 世紀末への道』展では、もちろんクリムトもありますが、最もウィーンが輝いていた世紀末の美術・デザイン・建築を網羅した展覧会です。今回注目したいのはデザイン・建築分野です。 イギリスではアーツ・アンド・クラフツが起こり、ウィーンではビーダーマイヤーが起こりました。社会的背景には産業革命による市民階級の躍進があります。ウィーン工房はウィーン分離派に参加していたヨーゼフ・ホフマンとコロマン・モーザーによって設立されたのですが、実はウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツの影響を受けた総合芸術・生活の芸術化を目指しました。
ビーダーマイヤー様式というのは日本ではあまり注目されていないのですが、後のバウハウスに影響を与えたとも考えられています。ビーダーマイヤー様式は市民のためのものなので、それまでの貴族的なスタイルとは違い、シンプルなデザインと言えます。
インテリアスタイルとしてのビーダーマイヤーについてですが、わかりやすいイメージがあるといいのですが難しい。家具はアンティークとして残っているのですが、インテリア全体のイメージとなると画一的というよりは、ブルジョア階級が親しい人と心地良い時間を過ごす空間としてのインテリアと言えるでしょう。ロココやバロックなどと比べるとシンプルです。
カーテン屋としては、ビーダーマイヤースタイルに合わせるなら?と言われたらやはりバックハウゼンでしょうか。バックハウゼンは、オーストリアのファブリックブランドで、ホフマンによるデザインのテキスタイルならイメージに合うのではないでしょうか。展覧会場には、バックハウゼンの生地による商品などもありましたよ。
こちらはマナトレーディングさんのHPより、バックハウゼンの紹介写真です。ヨゼフ・ホフマンデザインを現代的にアレンジしています。