モリスデザインのカーテンと壁紙のコーディネート【窓コラム】
ウィリアム・モリス(William Morris)は、19世紀末のイギリスで活動した芸術家、デザイナー、作家であり、彼の作品は日本でも人気があります。彼のインテリアが日本で好まれる理由にはいくつかの要素が挙げられます。
モリスのデザインが日本でも人気の理由とは?
- アーツ・アンド・クラフツ運動の影響: モリスはアーツ・アンド・クラフツ運動の中心的な人物でした。この運動は、産業革命によって失われつつあった伝統的な職人技術や手工芸を再評価し、美術と工芸を融合させることを目指していました。日本でもアーツ・アンド・クラフツの理念が共感を呼び起こし、モリスのデザインが受け入れられました。
- 自然主義的なデザイン: モリスの作品は、自然や植物の要素を取り入れたデザインが特徴的でした。日本の文化においても、自然との調和や四季折々の美しさが重要視されており、モリスのデザインがその感覚に共鳴していたと考えられます。
- 手作りと高品質な素材の重視: モリスは手作りの重要性を強調し、高品質な素材を用いて製品を作りました。これは日本の伝統的な職人文化と共通する点があり、手仕事や素材へのこだわりがモリスのデザインを日本で人気にした一因です。
- 美的感覚の共有: モリスのデザインは美的感覚が豊かで、シンプルでありながらも独創的で美しいものが多かったです。これが日本の美意識と調和し、多くの人々に愛された要因とされています。
総じて、ウィリアム・モリスのデザインは、アーツ・アンド・クラフツ運動の理念や、自然や手仕事への愛情が共通する日本の文化と調和し、そのため日本のインテリア愛好者に受け入れられています。今回はウィリアム・モリスの壁紙とカーテンのコーディネートをリリカラのV&Aシリーズからご紹介します。
モリスデザインの壁紙とカーテンコーディネート例
Willow Bough(ウィロー・バウ)
モリスデザインの中でも人気のウィロー・バウは1887年に壁紙としてデザインされました。テムズ川沿いに自生する柳をモチーフにしており、フラワーモチーフに比べると派手さはありませんがまるで戸外で散策をしているような感じが人気の理由の一つなのではないでしょうか。カーテンが柄物なので壁紙は無地を合わせています。落ち着いたグレイッシュなブルーがドレープとマッチしています。
こちらは壁紙をWillow Boughにして、ドレープカーテンを無地にしたコーディネート。元々壁紙としてデザインされてたものなのでこちらもいいですね。柄物の壁紙を一面に使い、他の3面は無地にすることでコントラストを出しています。カーテンとベッドカバーをブルーにしています。落ち着いたベッドルームでゆっくりと休めそうです。
Daisy(デイジー)
1860年に壁紙用としてデザインされたデイジーは、15世紀の彩色装本に描かれている壁掛けからインスピレーションを得ていることから、モリスがアーサー王や中世時代の騎士道が好きだったことが分かります。シンプルに図案化したデイジーを繰り返しリピートすることで一定のリズムを感じるこちらもエバーグリーンなデザインだと言えます。
こちらは同じくデイジーの壁紙ですがリリカラインポートセレクションです。こちらは英国で生産されているMorris&Co.の輸入紙壁紙です。プリント技法は、サーフェイスプリントとサーフレックスプリントというモリス商会時代の木版印刷に近い風合いを表現した機械印刷です。ブルーのモノカラーなのでシックな印象になります。
Fruit(フルーツ)
フルーツという名前で知られているこちらはザクロをデザインしたもので、こちらも大変人気の柄です。1866年にデザインされたこちらは当時、多くの芸術的意識の高い人々の邸宅に使用されていたそうです。アクセントクロスとしてベッドのヘッドサイドに用い、他はホワイトの無地で明るいカラーコーディネートになっています。カーテンはベージュとグリーンを切り替えしていますがポイントにブラックのブレードをアクセントに使用しています。このブレードがあることで引き締まった印象になっています。