天然繊維の種類について【豆知識】

ヴェスタショップにはたくさんの生地サンプル展示がございます。その多くは化学繊維のポリエステルです。ポリエステルは強度・耐熱性・寸法安定性などに優れていますが、静電気が起こりやすいためホコリが吸着しやすいです。一方、最近では天然素材の人気が徐々に高まっています。自然素材の家や健康住宅の需要が高まり、内装仕上げと同様にカーテンも天然素材を希望するお客様が増えています。人気の天然素材についてわかりやすくご紹介します。

天然素材の繊維とは?

天然繊維の原料になる素材には、植物性と動物性があります。動物性にはシルクとウールがあり、植物性には麻と綿があります。それぞれに特徴がありますのでご紹介します。

動物繊維

シルク(絹)

絹は蛾の一種である蚕(かいこ)の幼虫が、さなぎになるときに作った繭をほどいて繊維として利用します。蚕が体内で作り出すたんぱく質・フィブロインを主成分で、1個の繭から約800~1,200メートルとれるため、天然繊維の中では唯一の長繊維です。その歴史は古く、紀元前の中国で養蚕が行われていたそうです。絹の製品を運んだ道があの有名なシルクロードです。

シルクは紫外線に弱いのでカーテンにするなら裏地を付けます
シルクは紫外線に弱いのでカーテンにするなら裏地を付けます

ウール(羊毛)

動物の毛には、硬くて真っ直ぐな刺毛(さしげ)と、柔らかく縮れた産毛(うぶげ)があります。繊維として利用するのは産毛ですが、羊は長い年月をかけて、産毛だけになるよう品種改良されてきました。羊の種類はいろいろありますが、一般的なのはメリノ種です。他にもカシミヤ山羊やアンゴラ山羊、らくだ(キャメル)、うさぎ(アンゴラ)などはよく目にしますね

羊毛の特徴は、①保温性がよい、②湿潤状態で揉まれるとフェルト化する、③吸湿性が高いが、表面ははっ水性がある、④寸法安定性が低い、⑤アルカリに弱い、⑥虫に食われる。

ウールはその特性からカーテンより毛布などに向いる
ウールはその特性からカーテンより毛布などに向いる

植物繊維

麻(リネン・ラミー・ジュート・ヘンプなど)

麻は古代エジプトのミイラが、麻(亜麻)の布で包まれていたことから古くから織物として利用されていました。麻は靭皮(じんぴ)繊維と葉脈繊維の総称で、植物の種類によってその呼称が違います。リネンは亜麻(フラックス)、ラミーは苧麻(ちょま)、ジュートは黄麻、ヘンプは大麻です。

麻の特徴は、①吸湿性・吸水性に優れている、②吸湿すると強度が増す、③サラッとした清涼感がある、④シワになりやすい、⑤寸法安定性が低い。

リネンは静電気が起こりにくいのでカーテンの場合に汚れが付きにくいというメリットがあります。

フラックス(亜麻)の花

コットン(綿)

綿はアオイ科の植物で、いろいろな種類がありますが、繊維として最も多いのはアップランド綿と呼ばれるものです。白っぽい花が咲いた後に結実し、それがはじけて種のまわりの綿毛が露出したものをコットンボールといいます。綿は主に繊維の長さで区別されて、繊維長が長いほど高級品とされています。

綿の特徴は、①中空構造のため軽量で保温性がよい、②吸湿性・吸水性に優れている、③吸湿すると強度が増す、④染色性がよく、染色堅牢性にも優れている、⑤洗濯で縮みやすい、⑥シワになりやすい。リネンと同様に呼吸するために伸び縮みするという性質がありますが、水通しをして予め縮ませるなどの加工を施すことである程度解消しています。

コットンの原料となる綿花