カーテン生地の“プリント”と“ジャガード”って何が違う?選び方ガイド【窓コラム】
カーテン生地には「プリント(印刷)」と「ジャガード(織り)」という代表的な表現方法があります。本記事では、技法の違いそのものを、見た目・質感・価格・耐久性・お手入れ・環境面までやさしく整理。最後に失敗を避けるチェックリストも付けました。

この記事でわかること
- プリントとジャガードの仕組みと見た目の違い
- 価格・耐久性・お手入れ・環境面の体感差
- 目的別の選び方ガイドと失敗回避ポイント
プリント生地とは
特徴(仕組み)
生地の表面にインクで柄をのせる方法。スクリーン印刷やインクジェットなど複数の技法があるが、共通して「後から模様をのせる」イメージです。

プリントのメリット
- 発色が鮮やか。グラデーションや写真的な細密表現が得意
- 価格が抑えやすい(同等デザインなら織りより手に取りやすいことが多い)
- 軽やかで扱いやすく、ヒダの出も整えやすい
プリントのデメリット
- コットン(綿)ベースの輸入プリントは、商品によってウォッシャブル表示が付かない(家庭洗濯非対応)ことがあります。
- 収縮率が数%でも、カーテンは大物のため実寸でcm単位の縮みになり得ます。仕上がり丈への影響は事前に確認しましょう。
- NIF(日本インテリアファブリックス協会)の取扱表示が付かない/取れないこともあります。NIF表示とメーカー取説を必ず確認してください。
- 染色・プリントの洗い工程で汚水が出るため、環境配慮を気にする方も(近年は改善傾向)。
- それでもコットンには独特の肌ざわりと風合いの良さがあり、経年の表情を楽しむ魅力があります。
- 参考:ポリエステル×プリントはウォッシャブル対応が多い傾向で、日常のお手入れ重視派に向きます。
ジャガード織とは
特徴(仕組み)
織機で糸の上下を制御し、糸そのもので柄を作る方法。糸の太さ・光沢・組織で模様を立体的に表現します。

ジャガード織のメリット
- 立体感・陰影・高級感が出る(角度や光で表情が変わる)
- 模様が生地構造そのものなので摩耗に強い
- 裏面にも組織柄が出るため、裏側の見え方も美しい
ジャガード織のデメリット
- 構造が複雑で価格は高めになりやすい
- 糸量が多くやや重い。大窓はレール・ランナーの選定に配慮
- 厚みが出る分、洗濯・乾燥に注意が必要な場合も
プリント vs ジャガード:違いを一目で比較
※横にスクロールできます
項目 | プリント(印刷) | ジャガード(織) |
---|---|---|
見た目・質感 | フラット、発色豊か、軽やか | 立体感・陰影・重厚感、角度で表情が変化 |
柄の再現性 | 多色・写真的・細密表現が得意 | 糸の光沢・組織で陰影表現、質感の深み |
価格感 | 比較的手に取りやすい | 高めになりやすい |
耐久性(柄持ち) | 擦れ・日焼けで色あせに注意 | 織り柄のため相対的に強い |
重さ | 軽め〜中程度 | 中〜重め |
洗濯・縮み | 素材次第。綿は縮みに注意/ポリはウォッシャブル多め | 表示に従えば可も。厚み・乾燥時間に配慮 |
裏からの見え方 | 無地/薄柄が多い | 裏にも組織柄が出ることが多い |
環境配慮の視点 | 染色・洗い工程の汚水に留意(近年は改善傾向) | 糸・密度が多く資源使用は増えがち(長期使用で相殺も) |
相性の良い部屋 | 明るいLDK、子ども部屋、軽やかな寝室 | 主寝室、来客の多いLDK、ホテルライク空間 |
どちらを選ぶ?目的別ガイド
コスパ重視で柄を楽しみたい
プリント。色面の美しさで部屋が明るく。ポリエステル×プリントはウォッシャブル対応が多く、扱いやすい傾向です。

長く愛せる“質感”と落ち着きを出したい
糸が織りなす立体感と陰影は、空間に奥行きを足します。角度や光で表情が変わるので飽きにくいのが魅力。来客の多いLDKや主寝室をホテルライクに整えたい人向けです。

日差しが強い窓・西日が気になる
どちらでも可ですが、遮光生地にプリントしたものなどは向いています。ジャガード織は高密度で織られていることが多いので向いていますが、日差しが強すぎる窓の場合は、紫外線対策として裏地を付けることをおすすめします。
また、遮熱効果の高いレースカーテンとの併用もおすすめです。

コラム|同じ柄で値段が違うのはなぜ?
人気意匠では、メーカーやシリーズをまたいで似たデザインが“印刷版”と“織り版”で存在することがあります。価格差・質感差の主因は技法の違い。迷ったら「3mの遠景(部屋全体の印象)」と「30cmの近景(手ざわり・陰影)」で見比べると判断が早いです。
プロの視点|写真では伝わらない“手ざわり”
- プリントは肌理の細かいフラット感と“色面の美”。空間を軽やかに見せます。
- ジャガードは糸のふくらみと光沢が作る陰影。近寄るほど情報量が増え、家具・照明の格に馴染みます。
よくある質問(Q&A)
Q.どっちが高級?
A.見た目の“高級感”はジャガードに出やすいですが、最終的な「良さ」は部屋づくりとの相性で決まります。生地の価格には様々な要素があります。ジャガード織は高密度に織り上げるため糸の使用量が価格に反映されます。また、輸入品なら輸送費や為替や関税などの要素も影響します。プリントなのに、輸入カーテンが高いのはそのためです。でも、輸入のコットンプリントには独自の良さがありますよね。
Q.お手入れはどっちが楽?
A.ポリエステル×プリントはウォッシャブル対応が多く扱いやすい傾向。いずれも洗濯表示を厳守してください。
Q.遮光や防炎の有無は技法で決まる?
A.いいえ。商品仕様で決まります。…
Q.輸入のコットン地プリントは洗える?
A.商品によりますので、まずは洗濯表示をご確認ください。「ウォッシャブル」の表示がなければ、大きなものは縮むリスクがあります。ご心配な場合は、ドライクリーニングの利用が安心です。
失敗を避けるチェックリスト
- 取り扱いについてはメーカー表示を確認した?
- 綿プリントは縮みリスクとメンテ方法を合意した?
- ワイドサイズは重さ・操作性(レール・ランナー・電動)を設計した?
実例・組み合わせヒント
- プリント × 無地ドレープ:柄を主役に。レースは粗めで軽快に。
- ジャガード × マットレース:陰影に“静かな面”を合わせてホテルライクに。
- 北欧柄プリント × 木製ブラインド:素材ミックスで一段格上げ。



まとめ
- プリント=発色と軽さ、ジャガード=立体感と“長く愛せる”質感。
- 迷ったら「遠景・近景」「昼夜」「重さ・メンテ・環境面」で判断。
- 最後は触れたときに好きかがいちばんブレない基準です。
ヴェスタショップでできること
サンプル現物を見比べながら、遠景・近景・昼夜の見え方をその場で確認できます。大開口や電動も含め、操作性までセットで相談OK。完全予約制です。
