ウィリアム・モリスのデザイン【窓コラム】
ウィリアム・モリスは、19世紀イギリスの最も影響力の大きいデザイナーであり、「近代デザインの父」言われています。モリスは単なるデザイナーにとどまらず、学者・社会思想家・詩人して多岐にわたる活動をしました。19世紀のイギリスといえば、産業革命による急速な近代化が始まり、大量生産による粗悪な商品が多く生活に流入してきたことに反発し、生活に手仕事による美しさを復活させようとした「アーツ&クラフト運動」として大きな影響を与えました。
現代の日本でも、モリスのその美しいデザインは多くの人を魅了しています。当初はステンドグラス製作から始まり、のちに壁紙が主力商品となる『モリス商会』のデザインは、現在英国サンダーゾン社によりオリジナルを損なわないように守り続けられています。日本でもモリスのファンはとても多く、カーテンや壁紙がインテリアの主役として使われています。
Blackthone(ブラックソーン)
早春に小さな白い花を咲かせるバラ科の樹木のリンボクを中心に、ヒナギクやバイモ、忘れな草が周囲に描かれたこのデザインは、モリスがケルムスコット・マナーの自然を観察するこtで生まれたものです。オリジナルの壁紙は、クラシカルなビクトリア朝テイストのインテリアによく取り入れられてきました。モリスデザインの中でも人気の高いブラックソーン。渋いオリーブグリーンのベースに咲き乱れる花々が英国の自然を表現しています。
Chrysanthemum(クリサンティマム)
菊は、日本では古くから長寿や若返りのシンボルとして親しまれてきました。このデザインは、モリスが日本の菊の花に影響を受けて1877年に壁紙としてデザインしたと言われています。
Daisy(デイジー)
このヒナギクのデザインはモリスの壁紙デザインの2作目であり、木版印刷を手掛けていたジェフリー商会が、モリス商会のパターンを印刷した1作目です。モリスが大英図書館で勉強した中世の装飾から影響を受けてつくられたもので、ブランドの中でも最も愛されているデザインの一つとなっています。