ル・コルビュジエ展@国立西洋美術館【エトセトラ】
ル・コルビュジエ展 絵画から建築へーピュリスムの時代
国立西洋美術館の開館60周年を記念して、ル・コルビュジエがパリで「ピュリスム(純粋主義)」の運動を推進した時代に焦点をあてた展覧会です。ピュリスムとは、第一次世界大戦後にシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエ)とアメデエ・オザンファンによる新しい芸術の模索を「エスプリ・ヌーヴォー(新しい精神)」という雑誌で表明した一連の芸術運動です。ピュリスムはキュビズムを否定するとこから出発しましたが、やがて肯定することになります。
この雑誌でジャンヌレは「ル・コルビュジエ」というペンネームで建築論の連載を行い、1922年には従弟のピエール・ジャンヌレと共同の事務所を開いて、建築家ル・コルビュジエとして本格的に活動を始めます。今回の展覧会では、ピュリスム時代の絵画と同時代の建築を並列で見れるところはなかなか面白いと思います。絵画や建築だけでなく、都市計画やインテリアデザインという広範囲の仕事を1920年代という期間に焦点を当てた内容になっています。
この展覧会の一番の見どころは、彼自身の作品である国立西洋美術館の空間の中で開催されることでしょう。コルビュジェの建築で7カ国の17施設が世界遺産に登録されています。その中で美術館は国立西洋美術館のみ。
今回、模型の展示があったラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸は個人邸ではありますが、オザンファンとコルビュジェに収集を依頼した美術作品の展示をするための建築なのでギャラリー的な要素が強いです。国立西洋美術館の常設展はおすすめです。コルビュジェの建築を楽しみつつ、収蔵品も素晴らしいので是非。(コルビュジェ展開催中は、常設が一部変更されています)