オーダーカーテンの価格ガイド—納得できる一枚を選ぶ基準【豆知識】
価格の考え方:サイズ×生地×縫製で決まる
本記事は新築・引越しに限定せず、オーダーカーテン全般の価格の考え方と選び方をまとめます。家全体の総額の目安や段取りは、別記事「新築のカーテン費用相場」で解説しています。
同じデザインでも、窓が大きくなるほど生地の用尺が増え、ヒダ倍率や裏地の有無、芯地や裾仕様といった“縫製の細部”で見た目と価格が動きます。ここを理解しておくと、見積りの根拠が読みやすくなります。
- 既製品:規格サイズで気軽に選べるタイプ。標準的な窓に合えば、最短で導入できます。
- イージーオーダー:既製品とフルオーダーの中間。幅広いサイズに対応し、基本のデザインや丈調整も可能。フルオーダーより価格は抑えめです。
- フルオーダー(オーダーカーテン):窓のサイズや形状、取付位置(天井付けなど)までフィットさせる設計。大開口や変形窓、統一感を重視したい空間に最適です。
なお、イージーオーダー・フルオーダーは受注生産のため、仕様確定後の変更や返品が難しい場合があります。採寸と条件の確認をしてからご注文ください。
掃き出し窓/腰窓で変わる費用感
目安(ドレープ+レース一式/ベーシック生地/フラット〜1.5倍/既存レール前提)※表示は1窓あたり目安・税込。レール・採寸・施工費は別途(仕様・現場条件で変動)。
- 腰窓(W130×H120前後):1.0〜2.8万円
- 掃き出し窓(W180〜200×H200前後):1.6〜4.0万円
増減の目安
- ヒダ倍率:1.5倍→2倍で +10〜20%
- メカ製品(ロール/バーチカル等):別建て(サイズ・仕様で上下)
※家全体の総額や段取りは「新築のカーテン費用相場」で詳しく解説しています。
ヒダ倍率での差と見た目の違い
ヒダ倍率は、仕上がり幅に対してどれだけ生地を使うかの比率です。
(例:仕上がり幅200cmに対して、生地300cm=1.5倍、生地400cm=2倍)
- 価格への影響:同じ生地・同じサイズなら、1.5倍 → 2倍でおおむね+10〜20%(生地用尺と縫製手間が増えるため)。
- 見た目の違い
- フラット(1.1~1.3倍):ヒダがないので平面的。柄がはっきり見える/北欧テイストに相性◎
- 一つ山ヒダ(1.3倍):生地の使用量が少なく平面的、かつヒダをとることでカーテンを開けた時に納まりやすい
- 二つ山ヒダ(1.5倍):ほどよいボリューム。すっきりしつつ陰影も出る万能型
- 三つ山ヒダ(2倍):ヒダが深くリッチな陰影。高級感と断熱・遮光の体感が上がりやすい
- 使い勝手の違い
- 倍率が上がるほどたたみ代(束ね厚)が大きくなる。
- フラットは寄せたときの束ね厚が少なく、柄を見せやすい一方、幅が大きい窓では寄せ位置の収まりに注意。
選び方の目安
- フラット(1.1〜1.3倍):子ども部屋・腰窓・柄を見せたい窓
- 一つ山(約1.3倍):書斎・個室(軽快&納まり重視)
- 二つ山(1.5倍):多くのリビング・寝室(万能)
- 三つ山(2倍):リビングの主役窓・来客の目に入る窓(陰影と存在感)
見積書の見方と費用内訳

生地代・縫製仕様・付属
カーテンの価格は生地代/縫製仕様/付属(小物・加工)の3点で算出されます。カーテンは価格表で上代を確認することができます。
生地代(どの布を、どれだけ使うか)
- 生地名・品番/色(ドレープ・レースは別行で)
- 生地巾・リピート(柄合わせの有無で用尺が変動)
- ㎡ or mあたり単価/用尺(仕上がり幅×ヒダ倍率で決まる)
縫製仕様(見た目と使い勝手を決める部分)
- ヒダ倍率(フラット・1.1~1.3倍/1.5倍/2倍)
- 芯地・ヘッドの仕様(形態安定の有無、A/Bフック)
- 裾仕様(三巻・折り返し幅、ウェイトテープの有無)
明記例:1.5倍ヒダ/形態安定あり/Aフック/裾折返し8cm
付属・加工(小物と追加オプション)
- タッセル(共布/本数)
- リターン縫製、スタイル縫製など
- 形状記憶・防炎ラベル など
明記例:共布タッセル×2本/リターン縫製/防炎ラベル
チェックすると安心なポイント
- ドレープとレースが同じ行に混ざっていないか
- ヒダ倍率・裏地の有無が書かれているか
- タッセル本数(片開き=1本/両開き=2本)が合っているか※レースにはタッセルはつきません
レール/メカ、採寸・施工
レール・メカの仕様と採寸・施工条件は、見た目と操作感、費用に直結します。見積書では次を行分けで明記しましょう。
レール/メカ(ロール・バーチカル・ハニカム等)
- 品番・シリーズ/色(例:TOSO ネクスティダブル/ウォールナット)
- 製作寸法:(例:W2000mm×H1600mm)
- 取付方法:天付け(天井・ボックス内)/正面付け(壁面)
- 操作仕様:片開き/両開き、右or左操作、コード/チェーン/ワンチェーンなど
- 部品色:指定しないと標準色(ホワイト)
採寸(寸法の基準を合わせる)
- 採寸基準:窓枠外寸基準 or 仕上がり寸(どちらで算出かを明記)
- カーテンボックス内寸:奥行◯mm(メカ併用可否の判断に)
- 干渉確認:建具・エアコン・家具とのクリアランス
施工(費用と条件の透明化)
- 採寸費/施工費/出張費(各いくら/窓数で変動するか)
- 共用部・養生・駐車:マンション等の時間帯制限・申請要否
- 下地状況:ビスが効くか、補強が必要か(追加部材の有無)
- 日程:最終採寸→制作(10日〜2週間)→施工の流れ
チェックすると安心なポイント
- レール品番・色・長さが書かれているか(“レール一式”だけはNG)
- 天付/正面付・右左操作・チェーン長が指定されているか
抜けやすい項目チェック
防炎の要否
- 集合住宅・高層階・施設等は防炎ラベル必須のケースあり。
両開きor片開きの指定
- 片開き:寄せる方向(左 or 右)を明記。
ボックス内寸(奥行・高さ)
- 奥行◯mmを記載。レール+メカ併用の可否や干渉判断に必須。
下地の可否(正面付け/天付け)
- 正面付け希望でも下地なしだと位置変更・部材追加が発生。
- 天付けはビス位置・ピッチが取り決めどおりかを現地で確認。
チェック欄(そのまま使える)
- □ 防炎ラベルの要否を確認/該当窓に指定した
- □ 開き方(両開きor片開き)と片開きの場合の寄せ方向
- □ ボックス内寸(奥行◯mm)を記載
- □ 取付方法と下地状況(正面付け/天付け)を確認・記載
ひと言:ここが書いてある見積りは安心。後戻りの原因の多くは、このチェックに入っている項目です。
部屋別の選び方(リビング・寝室・子ども部屋)
カーテンは部屋の用途・方角・周囲の視線で最適解が変わります。まずは機能(採光・断熱・遮像)で土台を作り、そこに意匠(色・素材・ヒダ)を重ねる順番で考えると失敗しません。

リビング:採光・断熱・眺望の三点バランス
リビングは「明るさ」「居心地」「見た目」を同時に満たす空間。
日中は自然光を取り込みつつ、季節や時間帯で光量と熱をコントロールできる設計が軸になります。
- レースの役割を最優先:
- 外からの視線が気になるなら遮像・ミラーレース(昼の見えにくさを確保)。
- 眺望を活かしたい窓は通常レースで透け感を残す。
- ドレープは“光と温度”の調整役:
- 西日・夏場が強い窓は遮光2級〜3級/厚手生地でまぶしさと熱を軽減。
- 冬の冷えが気になる窓は裏地付きで断熱性を底上げ。
- 見た目の整え方:
- 1.1~1.3倍ヒダ〜フラットだと面がすっきり、家具・アートが主役に。
- 天井が低く見えるのが気になれば天付×ウェーブで“縦ライン”を強調。
- 色は床・壁・大型家具の3点と調和させると失敗が少ない。差し色はクッションやラグで補う。
- 方角・環境で微調整:
- 南向き…採光◎。薄手レース+軽めのドレープで明るさ優先。
- 西向き…眩しさ・熱対策を重視。遮光寄りを検討。
- 道路沿い・向かいの建物が近い…遮像レースで昼の視線をカット。
まとめ:レースで昼の表情を作り、ドレープで光と温度を整える。意匠は“部屋全体の色設計”に合わせて面を美しく仕上げるのがコツです。
寝室:遮光等級と“すき間光”対策
寝室は睡眠の質=光の管理が最優先。まずは遮光等級を決め、同時に“すき間光”を抑える設計で整えます。
- 遮光等級の目安
- 遮光1級:真っ暗に近い。朝日で目覚めたくない/夜勤に向く
- 遮光2~3級:薄明るさは残す。自然に起きたい人にちょうど良い
- ※濃色ほど暗さを感じやすい。効果を高めたいなら裏地付きで遮光・断熱・耐久を底上げ
- “すき間光”対策(両側・上部)
- 両側:リターン(壁側へ6–10cm折返し)+レール延長で横漏れを減らす
- 上部:天付けやボックス内に納めると上からの漏れを抑えやすい
- レース&プライバシー
- 道路側や向かいの視線が気になる窓は遮像レースで昼の見えにくさを確保
- 日中も落ち着きを保ちたいなら遮熱レース+濃色ドレープで明るさを微調整
- 防音・断熱の現実解
- カーテン単体の防音は限定的。厚地×裏地で吸音・断熱を補助し、隙間を減らすのが効く
- 床までの丈や長めのブレイクスタイル+リターンで“面”を覆うと体感が変わる
選び方の目安
- 真っ暗派:遮光1級+裏地/オーバーラップ/リターン/天付け
- ほどよく明るい派:遮光2~3級、レースは遮像で昼の視線ケア
- 道路側・騒がしい環境:遮音生地や厚地×裏地+隙間対策を優先(+必要なら窓側対策)

子ども部屋:洗濯性・耐久・安全性の基準
子ども部屋は“清潔に保てて安全、そして集中できる明るさ”が最優先。 洗える素材と安全仕様を土台に、成長に合わせて模様替えしやすい設計にしておくと長く使えます。
- 清潔(ウォッシャブル前提)
- ポリエステル系のウォッシャブル生地を基本に。外遊び・花粉・ほこり対応で家庭洗いがしやすい。
- レースはミラー/遮像で日中の目隠し+UV/遮熱機能があると快適。
- 眩しさコントロール(学習×睡眠)
- 学習時間は明るさ確保:レースは透け感を残し、ドレープは遮光2級〜3級で“まぶしさだけ”を和らげる。
- 昼寝や早寝派は:必要に応じて遮光1級+すき間対策(リターン)を追加。
- 安全性(チャイルドセーフティ)
- ループレスを選ぶ。
- チェーン・コードは必ず安全パーツ(クリップ・テンショナー)を使用。床からの高さも調整。
- 家具・エアコンとの干渉を採寸時にチェック(登って触れない位置関係に)。
- 将来の模様替えがしやすい設計
- レール色はニュートラル(白・木目)で壁・家具を選ばない。
- 柄は小物(寝具・ラグ)で遊ぶ前提にして、カーテンは無地〜控えめ柄だと長持ち。
選び方の目安
- 幼児期中心:ウォッシャブル生地、安全パーツ必須
- 学童期中心:レースで昼の明るさを確保、勉強時間の眩しさはドレープで調整
- 早寝・昼寝ニーズ強め:遮光1級+オーバーラップ/リターンで“すき間光”を最小に

予算を「削る」ではなく「活かす」コツ
オーダーカーテンは仕上がりと使い勝手まで設計できるぶん、既製品より高くなりがち。だからこそ、どこに重みを置くかを決めると、同じ予算でも満足度が大きく変わります。値下げより配分設計—これがプロに相談する価値です。
配分の基本ルール
- 見せ場窓に投資:リビングの大開口など“視界に入り続ける窓”は、生地グレードやヒダ倍率で見た目の面を整える
- その他の窓は整える:腰窓や個室はフラット〜1.5倍や無地ベースで揃え感>豪華さに
費用対効果を上げる手順
- レールは活かす/替えるを選別
既存レールで十分なら活用。主役窓だけ見せるレールに変更して印象を底上げ - 倍率コントロール
主役窓=2倍で陰影を深く、その他=1.5倍 or フラットでコストと扱いやすさを両立 - 素材のメリハリ
主役窓=天然素材/高意匠、その他=ウォッシャブルのベーシックで運用性を確保
やりがちなムダを避ける
- すべて遮光1級 → 昼の暗さが過剰になりがち(部屋で使い分け)
相談で決めると早いポイント
- 優先順位表(窓ごとに「見せ場/標準/簡素」の3段階)
- レールの使い回し可否(下地・耐荷重・色の相性)
まとめ:“どこを見せるか”を先に決める。主役窓に投資、その他は整える。これだけで、同じ予算でも仕上がりの満足度がぐっと上がります。
見せ場窓に投資、その他はベーシックで整える
家の印象は“よく見る窓”で決まります。 まずはリビングなどの見せ場窓に投資し、その他の窓はベーシック仕様で揃えて面を整える。この“配分設計”が満足度を一番押し上げます。
- リビング(主役窓)
- 生地:質感の高い無地 or 織り感のあるもの
- 倍率:1.5〜2倍で陰影と面をつくる
- 仕様:必要なら裏地で断熱・遮光を補強、天付×ウェーブで天井を高く見せる
→ “ここだけは妥協しない”を決めると全体が締まる
- 個室(プライベート空間)
- 生地:ウォッシャブルのベーシックを基準に
- 倍率:フラット〜1.5倍で扱いやすく、コストも安定
- 機能:必要な窓だけ遮像/遮光を追加(全窓には入れない)
- 子ども部屋
- 最初はベーシック無地+遮像レースで運用性優先
- 好みが定まったら、掛け替え
まとめ:見せ場=投資、その他=整える。 これだけで、同じ予算でも“家の顔”が一段上がります。
素材別の特徴
ポリエステル(合成繊維)
- 価格:比較的お手頃。バリエーションが豊富
- メンテ:ほぼウォッシャブル。シワになりにくく乾きやすい
- 機能:遮光・遮熱・防炎・UVなどの高機能生地が多い
- 見た目:発色が安定。無地〜柄まで選択肢が広い
- 注意点:静電気が起きやすく、ほこりが付きやすい(帯電防止スプレーで軽減)
向いている窓:ほぼ万能/賃貸/日常使いの多い窓(洗濯頻度が高い)
リネン(麻・天然素材)
- 質感:天然素材ならではの表情と風合い。光を柔らかく通す
- 快適性:吸湿・通気・保温に優れ、季節をまたいで心地よい
- 衛生面:静電気が起きにくく、汚れ・ほこりが付きにくい
- 見た目:経年で色・質感が育つ(自然なシワも味)
- 注意点:縮み・伸びが出やすい/洗濯はやさしめ推奨(ネット使用・陰干し)。遮光ではないので、厚地のものを選ぶ
向いている窓:アレルギーをお持ちの方の部屋/リビングの見せ場窓/質感重視の空間(ナチュラル・北欧・和モダン)
迷ったら(選び分けの目安)
- 手入れラク&機能重視 → ポリエステル
- 質感重視&長く育てたい → リネン
メモ:どちらの素材でも、ヒダ倍率・裏地・取付位置で見え方と体感は大きく変わります。素材だけで決めず、仕上がり設計とセットで選ぶのがコツ。

後悔しがちなポイント、ここだけチェック
迷いがちなところだけ先にチェックしておくと安心です。
採寸の数ミリ
→ 仕上がり丈は床上0.5〜1.0cmで指定。掃き出しは床擦り回避を最優先。
建具・家具との干渉
→ 最終採寸でドア開閉・エアコン前を実測。レール延長で“たたみ代”を外へ逃がす。
昼と夜の見え方ギャップ
→ サンプルで確認。寝室は遮光等級で見え方の確認。
相見積りのズレ
→ 取付方法・ヒダ倍率・仕上がり寸を同条件に。条件が違う比較は意味がない。
レール/メカの指定漏れ
→ 品番・色・右左操作・チェーン長まで記載。
納期読み違い
→ 目安10日〜2週間。引越し日は最終採寸→施工日確定から逆算(繁忙期は前倒し)。
後悔しないカーテン選びのためのアドバイス
後悔しない選び方は、まず用途に合う機能だけ決めること。わからない所はショールームで一緒に確認できます。窓装飾は項目が多く、見落とし(すき間光・下地・干渉)が起きがち。ここでは実物サンプルで透け感・色・操作感を比べながら、必要な機能に絞り込めます。ショールーム来店予約(坂戸/ふじみ野)

ヴェスタ・ショップは坂戸/ふじみ野(完全予約制)でご相談受付中。ご来店前にご予約ください。迷ったら、お気軽にご相談ください。お見積りは無料です。来店予約はこちら